エイジング治療で失敗しない為に医師が答えるQ&A

注入後に脂肪が腐ってしまうことはありませんか?

脂肪を腐らせないための注意事項について

間違った方法で施術が行われれば脂肪が壊死してしまうこともありますが、いくつかの注意事項を守ればこうしたことはほとんど起こりません。

回答した医師

THE CLINIC
THE CLINIC 院長 村田 八千穂

”脂肪が腐る”は、どんな状態?

注入した脂肪が上手く定着せず死んでしまった状態です。死んだ細胞は、かたまってしこりになります。
脂肪細胞は、血液から養分を受け取ることで生存し続けることができます。よって、注入先で血流を受けなければなりません。この点を意識せず脂肪を注入すると、腐ってしまう(=壊死し、しこりになってしまう)ことも考えられます。
ただし、脂肪細胞を生き残らせるためのポイントをしっかり押さえていれば、このようなことはほとんどありませんので、この点を熟知したクリニックやドクターを選びましょう。

注意点①注入する脂肪に余計なものが含まれていないか

採取したままの脂肪には、老化細胞や死活細胞、麻酔液などが含まれています。これをそのまま注入すると、老化細胞や死活細胞、麻酔液などに邪魔されて、脂肪細胞が養分を受け取ることができなくなってしまいます。こうなると脂肪は腐ってしまうので、余分なものを含まない脂肪を注入することが重要です。
加えて、脂肪幹細胞が豊富に含まれた脂肪を注入するのも重要です。脂肪幹細胞は、血管を構成する細胞などに分化する性質を持つので、脂肪細胞が生き残るための土台をつくる助けとなるでしょう。

不純物が多いと脂肪の生着を妨げ、体内に吸収されずに壊死した脂肪は、液状またはゴムボール程度の硬いしこりになる。

注意点②注入場所に対して適量の脂肪か

注入場所のキャパシティを超える脂肪注入は、脂肪細胞を酸欠状態にしてしまいます。満員電車のようにぎゅうぎゅうに詰め込まれると、脂肪は呼吸ができず、死んでしまうのです。
むやみやたらに大量の脂肪を注入せず、注入スペースに見合った脂肪の量を見極めることが重要です。

皮膚の伸展に見合わない注入量は、バストの内圧を高めて血流を妨げてしまうため、定着に必要な栄養素が供給されにくくなり、脂肪の生着率を下げる要因となる。

注意点③かたまりで脂肪を注入していないか

直径2.4mm以上の塊で脂肪を注入すると、中心部の脂肪が壊死してしこりになる。

脂肪をかたまり注入すると、内側の脂肪は養分を受け取ることができないので、死んでしまいます。特に、直径2.4㎜以上のかたまりの中心部分は壊死してしまうことが、自治医科大学の吉村浩太郎先生の論文から明らかになっています。
脂肪をかたまりにしないように、細かく注入していくことが重要です。